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パリからセビーリャ。なんだかメキシコのようだ。家の感じ、色、自然も。世界の反対側に同じような風景があって、同じような人々が住んでいるという不思議、そして彼らは血統的に繋がっている。バスターミナルのカフェテリアが秀逸。親父さんは寡黙で実直なタイプ、客は殆どお年寄りばかり。ちょっとしたお惣菜があったので頼んでみる。ツナサラダと、トルティーヤ。とても美味しかった。みんな、あまりにも美味しそうに煙草を吸っているので、地元の煙草を買ってみた。Ducadosという、ジタンみたいな黒い煙草。デザインがかっこいい。非喫煙者の肺には少々強いが、空気が乾いているせいか炭酸と煙草がすごく美味しい。バスは時間通り発着、意外とスペインの人々はパンクチュアルなよう。バスもそこそこ快適、途中で立ち枯れる向日葵畑を見た。その風景が実にぞっとさせるものだったので、なんだか悲しいことばかり考えてしまった。向日葵は全て顔(つまり種)を奪われ、黒く変色しながらうつむき加減に立っている。ダリの絵によくある、うつむき加減に立つ顔のない人物は、おそらくこの風景から生まれたのだと初めて分かった。南米でマジックリアリズムが生まれたように、スペインには視覚的シュールレアリスムが生まれる土壌があるのだ。強い太陽光の下で向日葵畑に取り残されたら、かなり生理的に強烈な体験をしそうだもの。